
【個展のお知らせ】
2025年5⽉15⽇(木)より、MAHO KUBOTA GALLERYにて個展を開催いたします。
VOCA展に出品した作品を中心に、計14点ほどの新作のペインティングを発表いたしますので、何卒ご高覧いただけますと幸いです。
鮫島 ゆい
反復と変容の総和
反復と変容の総和
Repetition and Transformation:The Sum
会期:2025年5月15日(木)〜6月14日(土)
時間:12:00-19:00(最終日17:00まで)
日・月・祝日 休廊
時間:12:00-19:00(最終日17:00まで)
日・月・祝日 休廊
オープニングレセプション
日時:5月15日(木)
時間:18:00-19:30
会場:MAHO KUBOTA GALLERY
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前2丁目4−7
Tel 03-6434-7716
info@mahokubota.com
MAHO KUBOTA GALLERYでは、5月15日より、京都在住のアーティスト・鮫島ゆいによる東京での初の本格的な個展を開催いたします。本展では大小14点ほどの新作ペインティングを展示いたします。
鮫島のペインティングは、多くの場合、シェイプド・キャンバス(変形キャンバス)を支持体として制作されます。彼女の作品においては、絵画に描かれたモチーフのそれぞれを個別に認識されることを、あえて拒むかのような姿勢が感じられます。
画面に現れるのは、儀式的な道具や何かを表象するオブジェのようなもの、また、かつてそれらに人が関わっていた気配などですが、それらは具象絵画における「対象」としての役割を持たず、むしろ抽象的な言語のように、作品同士をゆるやかに繋いでいくようにも見えます。鮫島が選ぶ色彩にも独自の規範があり、黒を基軸としながら、調和と不調和の間を行き来する中間色の扱いには特有の法則性が感じられます。それは、鮫島が構築する厳かで静謐な王国のルールに従っているかのようです。
自身の制作姿勢について、鮫島は次のように述べています。 「人は世界のすべてを直接見ることはできず、五感を通じて得た断片的な情報をもとに、それぞれの主観的な世界を構築している。かつてキュビズムの作家たちが対象を分解し、絵画を再構築することで新たな観点を提示したが、知覚の様式や感覚の枠組みそのものが流動化している現代において、視覚芸術である絵画表現を通じて、断片の外側にある「見えない存在」をいかにして示すことができるのか。 」
実際、彼女の絵画を前にすると、それぞれが単独で存在しているのではなく、全体でひとつの大きな王国、あるいは壮大な物語を形づくっているかのように感じられます。それは、飛行機から地表を俯瞰する風景や、海に点在する群島のように、可視の部分を遥かに超えた、隠れた構造や背景の存在の広がりとエネルギーを想起させます。
鮫島の絵画はもしかしたら「わかることを手放す」ことから始まっているのかもしれません。断片を並べ、それらを部分的に理解したとしても、その奥に広がる世界全体を把握することは本質的に不可能です。その不可能性を受け入れ、理解という枠を超えた先に立ち現れる風景があることを、彼女の作品は示唆しています。
理想郷を信じて進んできた価値観が崩れ、人々が各地で争う現在の世界において、鮫島の絵画は、私たちに「見えないものを想像する力」を呼び起こします。しかし彼女が描こうとしているのは、完全なる世界ではありません。それはむしろ、ひとりひとりの知覚のなかに浮かび上がる、正解のない、無数の世界線の姿なのかもしれません。
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展覧会ステートメント
私たちは世界のすべてを直接捉えることはできず、五感を通じた断片的な情報をもとに、それぞれの主観的な世界を構築している。ゆえに知覚とは、目に見えるものの単なる集積ではなく、断片を結びつけることによって現象が絶えず生成される働きそのものといえるだろう。
本展では、絵画という固定された時間と空間の枠組みの中で、「反復」とその中で生じる「変容」に焦点を当てる。反復とは、対象を繰り返し観測する過程でありながら、単なる同一性の再生ではなく、わずかなズレや変化によって新たな視座が開かれていくものである。その更新は、こうした微細な差異が積み重なることで生じる。
出品作は、知覚を分解し再構築するキュビズムの方法論と、シュルレアリスムが偶然性を通じて超越的な瞬間を捉えるアプローチを軸に、現象学的な観測を通じて「見えない存在」に問いを投げかける。そこに描かれるものは、身体を通じて捉えられた現前的な形象と、すでに過去のものとなりながらも断片として現在に残る存在が交錯する場であり、鑑賞者の解釈によって補完されることで、その「総和」が立ち現れる。
この作用は、作品の成り立ちにも深く関わっている。言葉を介さない身体的な観測を出発点とし、身体が発する、意識を超えた言語を誠実に翻訳することで、言葉の枠組みに収まりきらない未知のものへと開かれていく。その過程の中で、作品は単なる視覚的な対象を超え、時間的にも空間的にも拡張しうる場所となり、鑑賞者との関係を通じて絶えず変容し続ける。
知覚とはつねに不完全であり、私たちは仮説的に世界を構築しながらそれを更新している。しかし、その不完全さこそが新たな想像を促し、「見えない存在」を示唆する契機となる。知覚の様式や感覚の枠組みそのものが流動化している現代において、本展が私たちの「見る」行為のあり方を問い直し、存在の輪郭を探る界面として機能することを願う。
鮫島ゆい


【展覧会のお知らせ】
2025年3月15日(土)から3月30日(日)まで、上野の森美術館にて開催されるVOCA展に作品を出品いたします。
推薦委員は、京都精華大学ギャラリーTerra-S 学芸員である伊藤まゆみ氏です。ぜひ実物をご覧いただけますと幸いです。
VOCA展2025 現代美術の展望 —新しい平面の作家たち—
会期:2025年3月15日(土)〜 3月30日(日)[16日間/会期中無休]
主催:公益財団法人日本美術協会 上野の森美術館
特別協賛:第一生命保険株式会社
協力:ヤマト運輸株式会社
会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
10:00~17:00
※入場は閉館30分前まで
※最終日は15:00閉館
特別協賛:第一生命保険株式会社
協力:ヤマト運輸株式会社
会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
10:00~17:00
※入場は閉館30分前まで
※最終日は15:00閉館
入場料:一般800円(税込)、大学生400円(税込)、高校生以下無料
※学生の方は、学生証・生徒手帳をご提示ください。
※障がい者手帳をお持ちの方と付添の方1名は無料(要証明)。
※当日券窓口で友の会会員証をご提示いただくと、ご本人と同伴者1名様まで無料でご入場いただけます。
※日券窓口で「ぐるっとパス」をご利用いただくと、一般当日料金から 100円引きの 700円にてお入りいただけます。
※本券の変更・払戻・再発行・再入場不可。
※最新の開催情報は、上野の森美術館ホームページなどでお知らせします。
選考委員
植松 由佳* (選考委員長/国立国際美術館学芸課長)
川浪 千鶴 (インディペンデント・キュレーター)
丹羽 晴美* (東京都写真美術館事業企画課長学芸員)
拝戸 雅彦* (キュレーター)
服部 浩之* (キュレーター/東京藝術大学大学院准教授、国際芸術センター青森館長)
※選考委員はその年の推薦委員を推挙し、出品作家の中から受賞者を選考する。*印は受賞者を選考した委員。
【VOCA展シンポジウム】
【VOCA展アーティストトーク】
2025年3月15日(土) 15:00~16:00 宮本華子、諫山元貴、鮫島ゆい
2025年3月22日(土) 15:00~16:00 小林万里子、𠮷田芙希子、髙木優希
*予約は不要、ただし入場券が必要です。詳細はホームページにてお知らせいたします。
詳細はこちら:https://www.ueno-mori.org/exhibitions/voca/2025/
「VOCAの現在 — 平面の奥行き」
パネリスト 受賞作家・選考委員
日時 2025年3月14日(金) 14:00 ~ 16:00
定員 100名(要申込) *下記「シンポジウムお申し込みフォーム」からお申込みください。
パネリスト 受賞作家・選考委員
日時 2025年3月14日(金) 14:00 ~ 16:00
定員 100名(要申込) *下記「シンポジウムお申し込みフォーム」からお申込みください。
受賞者が自作について語ります。
【VOCA展アーティストトーク】
2025年3月15日(土) 15:00~16:00 宮本華子、諫山元貴、鮫島ゆい
2025年3月22日(土) 15:00~16:00 小林万里子、𠮷田芙希子、髙木優希
*予約は不要、ただし入場券が必要です。詳細はホームページにてお知らせいたします。
The Vision of Contemporary Artの頭文字をとって VOCA(ヴォーカ)展と呼ばれる本展は、全国の美術館学芸員、研究者などに40歳以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方法により、毎年全国各地から未知の優れた才能を紹介している現代美術展です。
今開催で32回目となる「VOCA展」は、平面美術の領域で国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に1994年より毎年開催し、延べ1,068組(1,079名)の作家が出展。ここから大きな躍進を遂げる作家を多く輩出しています。今年も「平面」の可能性を追求した多様な作品をご紹介いたします。
今開催で32回目となる「VOCA展」は、平面美術の領域で国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に1994年より毎年開催し、延べ1,068組(1,079名)の作家が出展。ここから大きな躍進を遂げる作家を多く輩出しています。今年も「平面」の可能性を追求した多様な作品をご紹介いたします。

【受賞のお知らせ】
このたび、鮫島ゆいによる作品《Ritual Room (Pretend to Be Happy) 》が、現代美術展「VOCA展2025 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」において〈VOCA佳作賞〉 を受賞いたしました。
長い歴史のある展覧会でこのような素晴らしい賞をいただけたことを大変嬉しく思っております。
今後も邁進してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
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この展覧会は、「VOCA展」実行委員から選出された全国の美術館学芸員や研究者、ジャーナリストなどの推薦委員が40歳以下の若手作家を推薦し、毎年全国各地から未知の優れた才能を紹介している現代美術展です。32回目の開催となる今回は、新進気鋭の作家23組24名が選出されました。
鮫島は、京都精華大学ギャラリーTerra-S 学芸員である伊藤まゆみ氏の推薦を受けて出品いたします。
出品作家らによる新作の平面作品が一堂に並ぶ本展は、東京の上野の森美術館にて2025年3月15日(土) 〜 3月30日(日)に開催される予定です。ぜひ実物をご覧いただけますと幸いです。
鮫島は、京都精華大学ギャラリーTerra-S 学芸員である伊藤まゆみ氏の推薦を受けて出品いたします。
出品作家らによる新作の平面作品が一堂に並ぶ本展は、東京の上野の森美術館にて2025年3月15日(土) 〜 3月30日(日)に開催される予定です。ぜひ実物をご覧いただけますと幸いです。