『 もつれるルーパ』
『 tangled rūpa 』
2021.10.12-11.6
ギャラリー ヴァルール (愛知) (Aichi)
協力:安井 海洋





















Photo by Ujin Matsuo
展覧会に寄せて
安井 海洋 氏(美術批評)
鮫島ゆいの絵画は断片を組み合わせるようにして構成される。作家が「呼び継ぎ」と呼ぶこの手法を通して、異質なものが画面上に混在する。うねる描線やドレープ状に垂れる帯などの、どろりとした流体のイメージが、マスキングテープによる断片の境界線に癒着する。
これらのもつれあう色形を、変形カンヴァスの縁が切断する。まるで一点一点の作品が、どこかから切り出してきたものであるかに見える。カット&ペーストと呼ぶにはあまりにも生々しい、切断と癒着が絵画を成立させている。
砕けた人体彫刻のように、断片は未完成のまま完成に至ることがある。鮫島の作品の場合も、それだけで完成していながら、変形カンヴァスの外側に続く存在を想起させもする。抽象表現主義の絵画が支持体を大きくしたのとは対照的に、サイズそのものが標準的だとしても、想像上のイメージはどこまでも膨張するのである。